リーヴィは苛立っていた。兄ソルヴァンセスと佳瑠(かる)の命懸けの恋。三年前のあの事件以来、カラヴィス次期大公絡みの思惑を孕(はら)んだ求婚が引きもきらないのである。彩糸(さいし)の惜しみない愛情さえ彼女を抑えられない。自ずとリーヴィの思いはラス、そして邪羅(じゃら)へと馳せる。時を同じくして異常事態が頻発(ひんぱつ)していた。五人の魅縛師(みばくし)が忽然(こつぜん)と姿を消したのである。敵の力量からして対抗しうる者は限られていた。
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